令和2年12月7日 大綱質疑

教育行政について

(1)第3期未来をつくる堺教育プラン(案)について

 堺市教育行政の大きな方向性を定める『第2期未来をつくる堺教育プラン』は今年度で終了し、現在、令和3年度から令和7年度までの計画を定めた『第3期未来をつくる堺教育プラン(案)』が議会にも示されております。

 行政が策定する計画は、計画を立てることが目的ではなく、その計画で示された成果指標を着実に達成することに意義があります。そのためには、成果指標は具体的な数値目標でなければならず、設定した評価指標を教職員が達成するためのインセンティブが必要となります。そのためには、結果に責任を持たせるためにも、成果指標の達成状況と人事評価制度をリンクさせる必要性を指摘しました。

(2)人事評価制度について

堺市教育委員会では、あらかじめ決められた目標の達成度合いに応じて評価が決定される絶対評価による人事評価が実施されています。絶対評価の元、5段階評価の中で、約9割の職員が真ん中の評価Ⅲに位置付けられています。『第2期未来をつくる堺教育プラン』で策定されている成果指標の約8割が未達であるにもかかわらず、9割の職員が標準評価Ⅲに位置付けられている状況を踏まえると、堺市教育委員会の人事評価制度自体が形骸化している可能性があります。組織内の切磋琢磨を生み出し、『第3期未来をつくる堺教育プラン(案)』で掲げられた成果指標を達成するインセンティブを人事評価制度によって構築する必要性を指摘しました。

(3)各種テストの在り方について

 堺市立中学校では、中間・期末テストのほかに、出題範囲を限定しない実力テストが実施されています。この実力テストは高校受験合否判定の評定にも加味されるテストであり、一定の信頼性が求められるテストです。

そのような中、堺市立中学校において、実力テスト実施後、採点後に配点を変えて平均点を上げるという点数操作が行われていた事実が判明しました。

かかる事案の問題点は、①現場教員の認識不足(採点後に配点を変更することに対する認識の甘さ)、②教育委員会の対応が不十分(市民からの通報があったにもかかわらず、担当者レベルで処理し担当課との情報共有が図られていない、関係者へのヒアリングが不十分、市長への報告がなされていない等)、③信頼回復に向けた取組が不十分(再テストの実施や関係者の処分等再発防止策が不十分)、という点にあります。

 一連の事案を踏まえ、実力テストへの外部テストの導入を提案しました。外部テストの導入によって、①学校間で問題の難易度やバラつきを防ぐことができ、制度への信頼を担保できる、②堺市内で自らが置かれている現状を把握できる、③問題作成、採点にかかる一連の作業が省略できることで教職員の働き方改革に繋がる、というメリットがあります。

 外部テスト導入コストと現状のやり方に要する教職員の人件費を比較しながら、外部テスト導入に向けた検討を行うよう求めました。