国家賠償請求訴訟について
■ 情報公開に至った経緯
平成28年11月28日、国と大阪府を相手に1,000万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を提起しており、現在も係争中であります。
現在係争中の段階であり、訴訟戦略上、しばらくの間、外部への発信は控えるよう代理人からの指示があったことから、これまで記者会見やホームページ等での発信はしておりませんでした。
しかしながら、二審の判断が下されたこと、また、最近、事実とは異なる内容が流布され、市民の方々から本件事案についての問い合わせが増えてきたことを踏まえ、代理人と相談の結果、係争中の段階ではありますが、本件事案の真相をホームページ上で公開する運びとなりました。
■ 事案の概要
平成25年10月7日朝、通勤で利用していた地下鉄御堂筋線の車内において、痴漢行為の疑いをかけられ、いきなり女性に右腕を掴まれました。私は、痴漢などやっていないことを説明するために駅事務室へ向かいました。駅事務室で90分に渡り事情を聴かれたのち、東警察署へ任意同行を求められたため、私は自らの言葉で説明するために東警察署へ向かいました。この時の会話はすべてICレコーダーに録音しておりました。
しかしながら、任意同行であったはずが、東警察署に着いた瞬間、「お前はもう逮捕されている。刑訴法なんてどうでもええねん。訴えるなら後で訴えろ」と警察官に言われ、強制的に腰縄をつけられました。
取調べでは「痴漢行為は絶対にやっていない」「そもそも逮捕手続がおかしいのではないか」と主張する私に対し、捜査員は「女性が嘘をつくはずはない。お前しかいないから早く認めろ。お前は限りなく黒に近いグレーだとみんな思っている。認めないと子供にも会えない。」などの言葉を浴びせ続けました。
訴えが認められることはなく、結局、勾留が2週間以上と長引くこととなりました。当時生後8ヶ月の娘を抱えていた妻の様子や仕事の長期欠勤など、自らが置かれている状況を考慮し、また、弁護士からも「痴漢事件の場合、立証責任が被疑者側に転換される。確実に不起訴を得るには示談するのが一番だ。これが刑事司法の限界だ」と言われたため、相手女性と示談し、弁護士の指示通りの内容で痴漢行為を認める供述書を作成し、釈放されました。
■ 平成27年 堺市議会議員立候補について
事案から1年半後、平成27年の堺市議会議員選挙にて、大阪維新の会公認候補として立候補する機会が巡ってきた際、大阪維新の会役員に事案の説明を行いました。その結果、私の主張を認めていただき立候補に至りました。
■ 国家賠償請求訴訟に踏み切った理由
実際にやってもいない痴漢行為に対して罪を認めざるを得ず、逮捕手続にも納得がいかなかったため、事件に関係した警察官らを虚偽公文書作成同行使、特別公務員職権濫用などの容疑で刑事告発しました。
しかしながら、大阪府警は告発状を放置し、告発状提出から4ヶ月後に事件を勝手に完結させ、闇に葬ったのです。 そこで、大阪維新の会 松井代表に報告の上、平成28年11月28日、国と大阪府を相手に1,000万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を提起いたしました。
■ 裁判の内容
《私の主張1:痴漢行為は不可能である》
当時、私には痴漢行為が不可能な状態であり、また、客観的にも痴漢行為をしていないと判断できる状態でした。
- 身動きが取れない程の混雑した車内で、5㎏の通勤鞄を持った右手での犯行は不可能である。
- 右手のDNA鑑定でも、女性の服の繊維片は検出されておらず、目撃者もいない。
- 女性の証言とICレコーダーの録音内容が大きくかけ離れており、女性の供述の信頼性に疑問が残る。
《私の主張2:逮捕手続きが違法である》
自身の身の潔白を証明するため、東警察署への「任意同行」に応じたのですが、 東警察署に着いた瞬間、「逮捕状態にある」とされました。
通常、現行犯逮捕以外での逮捕の場合は裁判所の令状が必要となります。 今回の場合、以下の理由により明らかに現行犯逮捕が行われていない状態でした。
- 駅事務室において居合わせた警察官は皆「逮捕ではない」と明確に答えている
- 「手が当たった可能性があるから謝れ。謝ったら済むだろ。」と警察官に説得されていた
- 逮捕状態であれば認められることのない携帯電話の使用や第三者との接触が認められている
- 逮捕した被疑者に行う身体捜検(危ない物を持っていないかの確認)も実施していない
- これらのやり取り全てがICレコーダーに録音されており、客観的に見て逮捕状態にはなかった
このような状態の場合、本来なら逮捕に裁判所の令状が必要です。 しかし実際は、駅事務室の段階で「現行犯逮捕されていた事」にされてしまったのです。 これは明らに違法な逮捕手続きです。
《大阪府警の主張:痴漢行為を認めており、逮捕手続に問題はない。》
- 物証(DNA鑑定や目撃者)はないが、本人が認めたから痴漢行為はあった。
- 女性に腕を掴まれた時点で逮捕が成立している。
- 「逮捕していない」との発言は警察官の勘違いだ。
- 携帯電話を使用するところは見ていない。
- 現場に駆けつけた警察官は任官3ヶ月の新米警官で手続きに不慣れであった。
《一審、二審の判断:原告の請求を棄却する。》
- 腕を掴まれた時点で現行犯逮捕が成立していた。
- 原告の主張には一切理由がない。
■ 現在の状況 (2019年7月更新)
【2019年3月時点】
一審、二審の判決はもちろん、判決理由の中で、動かぬ証拠であるICレコーダーの録音内容が証拠採用されず、警察官の証言を全面的に証拠採用するなど、到底納得できない部分があるため、現在、最高裁へ上告中です。
今回の事案をめぐっては、提訴前に多くのマスコミから取材を受けましたが、お話しできる範囲で、包み隠すことなく説明を行ってまいりました。
最終的な結論はまだ出ていない状況ですが、これからも政治家としてしっかりと説明責任を果たしてまいります。
【2019年7月時点】
依頼していた弁護士のミスにより、上告受理申立理由書の提出期限を徒過してしまい、その結果、上告受理申立ての却下決定がなされるに至りました。
現在、上告受理申立ての却下決定に対して、最高裁判所へ特別抗告を行っております。
【2019年7月17日】
令和元年7月17日付、最高裁判所第二小法廷より、「本件抗告の理由は、違憲を言うが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、特別抗告の事由に該当しない」との理由で、本件抗告を棄却する旨の決定通知が届き、本決定をもって、事件は終結となりました。
【所感】
2013年10月7日から判決の確定に至るまで、辿ってきた経過は到底納得のいくものではありませんし、この間の出来事については、言葉では言い表せないほどの憤りを感じております。国家賠償請求訴訟を通じて、国家権力と対峙する難しさ、厳しさなど目の前に立ちはだかる現実も痛感しました。
しかしながら、裁判を通じて私の主張を全て出し切ることができたという点は満足しています。 今後は、前を向いて進んでいくしかない、と自らに言い聞かせ、私に託していただいた6,379名の方々の想いを無駄にすることなく、堺市の発展に向けて、微力ではありますが力を尽くしてまいります。
■ マスコミ報道等について
MBS VOICE 2017年6月28日放送
『任意聴取のはずが身柄拘束・・・痴漢冤罪被害の実態 リスク減らす方策は?』
関西テレビ みんなのニュース ワンダー 2017年1月19日放送
『任意聴取のはずが…現行犯逮捕?』
上記リンク先コンテンツ削除のため報道内容をこちらに抜粋して掲載しております。